心を巡らせる、毎日のコーヒーの薬膳

高校生の頃からコーヒー愛好家の私。
強いこだわりがあるわけではないですが、日々の楽しみとしていつもそばにいるコーヒー。
今日はそんなコーヒーの栄養学的な&薬膳のお話です。

コーヒーの薬膳 程よい量でストレス対策に

五味:苦
五性:平(温)
帰経:心肺脾

薬膳的なはたらき

養心、強心(血を補う、五臓の「しん」の気を補い、「しん」の生理機能を正常に導く、精神不安の改善)
鎮静(精神不安の改善)
利水(体内の余分な水分を排出する、下半身のむくみを取る)
解酒(酒毒をとりのぞく、二日酔いの解消)

このように、五臓の「しん」にはたらきかけます。心を落ち着かせたり、気分を良くするはたらきがあるのは、コーヒーが好きな方はうなづきたくなる効用かも。
また、利尿作用も。確かに、コーヒーを飲むとトイレが近くなる実感がありますね。

南国のフルーツであるコーヒーの木、南国ということは五性(熱、温、平、涼、寒という性質)は身体を冷やす性質があるのでは?と思いがちですが、食べ物の性質は調理や生産過程によって変わってきます。焙煎をしてから飲むコーヒーは平性(文献によっては温性)なので、少なくとも体を冷やす性質ではありません。

だからって氷たっぷりのアイスコーヒーをがぶがぶ飲むと体は冷えるので、食べ物の性質に関わらず温度の低いものは摂り過ぎは注意ですね。

摂り過ぎに注意したい体質は?

コーヒーは少し温める、余分な水分を排出させる、という薬膳的効果があるため、体の冷えを感じる人や下半身のむくみが気になる人、なんだか集中できないという人には適しています。
逆に、興奮しやすい、喉がよく渇き常に何か飲みたい、乾燥肌の人が飲みすぎると必要な「水」まで排出しまいます。東洋医学での「水」は身体の余分な熱冷ましたり体を潤す作用があるため、これが不足している人はこれらの症状がさらに強くなる可能性もあるので、摂り過ぎには注意しましょう。

栄養学的な働き 朝に飲みたくなるのはなぜ?

エネルギー:6kcal
たんぱく質:0.3g
脂質:0g
炭水化物:1.05g
カフェイン:0.06g
(いずれもドリップコーヒー150g当たり)

コーヒーの栄養で一番気になるのはやっぱりカフェイン
カフェインは悪者にされがちですが、嬉しい効果もあります。よく知られているのは覚醒作用
頭をすっきりさせて集中力を高める効果があるので、仕事前や朝起きたときに飲みたくなるのも納得ですね
また、カフェインには薬膳的な効果でも書いた利尿作用があり、老廃物の排出させる効果があります。

また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸タンニンには抗酸化作用があるのもうれしい作用のひとつ。

他にも、コーヒーには循環器系の疾患の発症率を下げたり、一部のがんのリスクを低下させるという研究もあります。

なぜカフェインは嫌われる?カフェイン過敏症、カフェイン中毒…

コーヒー大好き!毎日飲みたい!そんな私も実はカフェイン過敏症
カフェインによる中枢神経系の刺激から、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠、下痢、吐き気などが引き起こされる人がいます。
私もコーヒーを飲むと毎回ではないですが軽いめまい、吐き気、震え、眠れなくなる、などの症状が。。悲しい。
原因は体質やカフェインの摂取量、環境など一口には言えませんが、私のようにコーヒー大好きなのに急に体質が変わることもあるので飲み過ぎには注意したいですね。(飲み過ぎが原因だったのでしょうか。)

また、カフェインには中毒性があります
人間の脳内にあるアデノシンアデノシン受容体が結びつくと、人は「疲れた」と感じます。
そこでカフェインを摂取すると、アデノシン受容体に血液内のカフェインが結びつき、アデノシンはフリー状態。こうなると人は疲れを感じにくくなくなります。コーヒーでなんだか疲れにくく感じているのはこのため。
しかし、カフェインを取り続けると脳へ働きにくくなり、より疲れを感じ、それを解消しようとカフェインをとる、でもやっぱり効かなくて疲れる…このループで「カフェイン依存症」が生まれます。

日本人のカフェインの摂取量は平均すると決して多くはないですが、最近はカフェインが添加されたエナジードリンクが流行っているという背景もあり、コーヒー以外でのカフェインの摂取には注意が必要です。

また、妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合に、胎児の発育を阻害(低体重)する可能性が報告されています。WHOからは妊婦に対しコーヒーを1日3~4カップまでにすることを奨めており、カナダや米国でも同等の基準があります。
日本では明確な基準はありませんが、欧米人との体格の差を考えると1日1杯、ぐらいのイメージで良さそうですね。もちろん気になる方はデカフェ、カフェインレスの商品をうまく利用しましょう。
栄養学的には数値化できませんが、東洋医学では「香り」にも健康効果はあると考えられています。好きな香りでリラックス…体に悪いわけないですよね。

筆者も愛飲のデカフェおすすめコーヒー

コーヒー好きでも答えられない?コーヒーの種類

コーヒー好きにとってもややこしいのが、カフェオレ、カフェラテ、カプチーノ、エスプレッソ…などの分類。
よく聞くコーヒーを分類するとこんな感じ。

まずコーヒーには大きく分けると左のエスプレッソベース と右のドリップコーヒーベース があります。
最近はエスプレッソベースのお店がかなり増えていますね。私の住む大阪でもここ数年めちゃくちゃ増えています。

エスプレッソとは

深煎りの豆を細かく挽き、フィルター充填して、沸騰水を加圧状態で濾して抽出するのがエスプレッソ。一杯30㏄ぐらいなので小さいカップで飲むアレです。

エスプレッソをベースにしたコーヒーのお店にはには「イタリア系」と「シアトル系」があります。
私はイタリアンレストランで働いているのでイタリア系の飲み方になじみがあるのですが、スターバックスコーヒーなどのよく見かけるコーヒーチェーンはシアトル系。

イタリア系は、イタリアの北部と南部で味の好みは変わりますが、基本的には小さいカップにエスプレッソを注ぎ、砂糖を入れて飲み、最後は残ったジャリジャリの砂糖をスプーンですくって食べる、という飲み方が一般的。私もこの飲み方が一番好きです。苦みと甘みと酸味のバランスが最高。
イタリアには街角のバールと呼ばれるお店がたくさんあり、サクッとエスプレッソを飲むのはイタリア人にとって当たり前の景色です。

この小さいカップに入ったエスプレッソにそのままフォームミルクを注いだのがマキアート。イタリア語で「染み」という意味のあるマキアートはエスプレッソにミルクのシミを付けた、という意味です。

イタリア系に対し、日本人になじみのあるシアトル系はエスプレッソをベースにミルクやフレーバーを使ってアレンジして飲むのが一般的。スタバのメニューのイメージなのでわかりやすいのではないでしょうか。
最近ではミルクの変更やフレーバーの変更など、楽しみ方が広がっています。

イタリアンレストランやバールでは是非イタリア式の楽しみ方で、普段は気軽に入れるシアトル系コーヒーショップで好きなアレンジを楽しむのはいかがでしょう?

毎日の楽しみに。コーヒーでリラックスしよう

コーヒーにはたくさんの種類、そして健康効果があります。
好きなコーヒーを香りも味も楽しみながらリラックスする時間を作ることは心にも体にもうれしい養生、セルフケアのひとつ。
頑張るためのもう一杯、ではなくて、頑張り過ぎず自分を労わるアイテムのひとつとしてお気に入りのコーヒーやコーヒーショップのある生活をすごしたいですね。

おすすめのアレンジや飲み方などがあればぜひ教えてください。ちなみに私はコーヒーにはちみつを入れるのが大好き。ミルクとも合いますよ。ぜひ。

編集長 まぐ(やまぐち あつこ)
現役ワインソムリエ、元病院管理栄養士。大阪在住の30代独身。
20代は病院、福祉施設、イタリアンバル、八百屋などで掛け持ちもしつつ馬車馬のように働き、30歳からソムリエとしてイタリアンレストランで勤務中。興味あること多すぎの器用貧乏。#まぐの台所

参考
薬膳食典 食物性味表 / 日本中医食養学会 編著
文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)
カロリーSlism
わかさの秘密
カフェインの過剰摂取について/農林水産省
ネスレのなぜなにコーヒー/ネスレ日本株式会社
コーヒー摂取と肝がんの発生率との関係について/国立がん研究センター

関連記事

一覧へ

カテゴリー

タグ

LINE

メゾンドメグリはLINE公式アカウントより
情報を更新しています。

LINE友達追加はこちら

CONTACT

ご依頼・ご相談はコンタクトフォームより
随時受け付けています。

お問い合わせフォーム