体質から知るワタシだけのセルフケア② 足りないと老ける?!「気」のはたらきって?
自分の体質を知ることで、「自分だけのセルフケア」を見つけたい
そのために漢方的な体質を知っていくシリーズ、前回はその基本である「気血水」と「気」についてお話ししました。
▼前回の記事はこちら▼
今回は体を構成する要素のひとつ、「気」とは、体全身を巡っている生命力そのものです。
日本語にはこの「気」を使ったことばもたくさなりますね。

その「気」をもっと知るために、そのはたらきをお伝えします。
「気」のはたらきをおさえておくと、「気」の巡りが悪い、不足している、といった状態が体にどんな影響を与えるかを理解しやすくなります。
気のはたらき①「推動作用」 動かすはたらき
まずは推動作用。字の通り「推す」&「動かす」はたらき。
「気」は目に見えないけれど体を動かす原動力です。内臓がそれぞれの役割を果たすためにも、人が生まれて成長していくためにも、体の中で血や水が巡るためにも必要なはたらきです。
気のはたらき②「温煦・気化作用」 温めるはたらき
気は体を温める働きがあります。
人間の体は冷えると正常に働けません。内臓も血液循環も水分代謝も悪くなります。
そのため「気」が体温を36度前後に一定になるように保ってくれます。
気のはたらき③「防衛作用」 まもるはたらき
そして「気」は、体を外部から守る働きもあります。
人間の体表を目に見えないバリアのように覆って、寒さや風邪やウイルス、花粉などの外からの病気の元から体を守ります。
また体の中に入ってしまった病気の元を追い出す働きもあります。皆さんが一般的にイメージする免疫力、抵抗力のような感じですね。
例えば、皆さんの中でも、「大事な本番の時は気が張っていたけれど、それが終わって気が緩んだ途端体調を崩した」というご経験のある方もいらっしゃると思います。これはこのまもるはたらきが弱まって風邪などのウイルスの力を防ぎきれなかった結果だと考えられます。

また花粉症などのアレルギーも漢方ではこの「防御作用」の強い弱いで、同じように花粉に晒されても花粉症になる程度が変わってくると考えます。
目には見えないエネルギーなので、なんだかスピリチュアルっぽいイメージを持つ方もいらっしゃると思いますが、私はこの気の充実具合で免疫力や抵抗力、病気の回復力の違いが出ると言うのはは絶対あるんじゃないかなと感じています。
気のはたらき④「化生作用」変化させるはたらき
次は気の物質の性質を変える働きです。性質を変えるってピンとこないですね。どういうことかというと
・体の中に入った飲食物を体に必要なエネルギーに変える
・体の中に入った空気から酸素を取り入れて二酸化炭素を出す
・不要になった汚れた水を汗や尿に変えて外に出せるにする
といった無意識に行われている代謝こそ、気が物質の性質を変化させているはたらきにあたります。
気のはたらき⑤「固摂・統血作用」漏れ出るのを防ぐはたらき
気には、外に漏れ出るのを防ぐ働きもあります。
これは体の中の液体が決まった場所から漏れ出ないようにする働きです。
体の中の液体というのは血液、汗、尿、胃液、唾液、精液など。それらが血管や、それぞれの臓器から勝手に流れていってしまわないようにしたり、気が外に漏れ出るのを防いでくれています。
気が不足すると、汗がなかなか止まらない、不正出血なども起きてしまいます。謎のあざができてしまうのも血管に血をとどめておけずに漏れ出ているからということもあります。
そして液体が漏れ出るのを防ぐだけでなく、位置を保つ働きもあります。
位置を保つ、とは内臓を決まった場所に止めておく働きです。気の働きが弱い人は全体的に下がり気味になります。
・顔の毛穴が開く
・ほうれい線やフェイスラインやボディラインがたるんでくる
・胃下垂や子宮脱
といったことは、この気の位置を保つ働きが弱ってきているからですね。
「気」を満たして巡らせるのがハツラツさのキホン
歳をとっていてもイキイキハツラツとしてる人は、この気が満ちている人。そして巡っている人。
「気」はからだの調子を整えるための基本的な働きをしているため、不足したり流れが滞ると「気力がない」だけでなく、実際に体に不調が現れたり見た目にも老けたように見えてしまうことも。
気のはたらきが理解できたら、その「気」を補う方法や巡らせる方法も一緒に学んでいきましょう。
※この記事は2022年2月に開催されたメゾンドメグリのオンライン無料講座「気血水から知るワタシだけのセルフケア」(講師:漢方薬剤師 竹内厚子)の内容を加筆修正しています。